茨城県坂東市から、こんにちは。
漢方薬剤師の菅沼真一郎です。
中国、南京で開催された2019年中医薬による不妊症及び婦人科難病治療国際学術大会に参加してきました。
2019年中医薬による不妊症及び婦人科難病治療国際学術大会
不妊治療の周期療法で有名な国医大師夏桂成先生は、90歳になられ、もう教えていただく機会がないかもと思い、今回、参加いたしました。
家族、スタッフに無理を言って、参加が実現できました。
とても感謝しています。
夏先生の周期療法は、とても進化しています。
私は、夏先生に2014年、2017年、そして今年と3回勉強させていただきました。
以前は、不妊症や婦人科疾患には、腎と血が大切と聞いていました。
2017年の南京の病院研修では、心腎子宮学説(心(こころ)と腎(じん)が子宝に大切)というお話をお聞きしました。
2017年の南京研修の様子はこちら
今年は、心(脳)腎子宮学説をお聞きしました。
心(脳)と子宮が子宝や生理周期に大切と心(こころ)だけでなく、もっと広い意味の精神という意味で脳と表現されていると私は思いました。
私が感じたのは、心(脳)をケアすることが、とても大切ということです。
講演の中では、夏先生は、睡眠と運動の重要性を強調されていました。
2017年の診察でも患者さんに、 「10時に寝なさい」とお話されていました。
私も患者さんに良く寝ることと、適度な運動をすることをおすすめしようと思います。
生理周期の4つの変化をよくみること、低温期、排卵期、高温期、生理期のそれぞれにおける周期に応じた漢方処方の重要性をお話されていました。
特に低温期(卵胞期)が重要と強調されていました。
私も卵子を作る低温期を重視していこうと思います。
低温期から排卵期になっていくときに、おりものの状態を確認する重要性もお話されていました。
患者さんのおりものの状態をよく確認して、それに応じた漢方薬の提案をしっかりおこなっていこうとも思いました。
今回の中国研修では、不妊症だけでなく、難治性の婦人科疾患の治療にも周期療法がとても役に立つことがわかりました。
私の漢方相談の中でも取り入れていこうと思います。
もっとも大切におもったことは、どのような病気でも心のケアは最重要ということです。
これからもお客様に寄り添っていこうと思います。
健康漢方相談がんばります。
国医大師夏桂成先生ご講演内容(一分抜粋)
不妊治療の周期療法で有名な国医大師夏桂成先生
周期療法について
周期療法の基本は卵胞期にあります。
いかに排卵させるかです。
排卵は子宝だけでなく女性の健康にも必要です。
周期療法は、中医学の基礎の4大古典の理論からも来ています。
排卵期は重陰が大切です。
重陰には、4つの陰が基礎となっています。
癸陰(きいん)が重要です。
癸陰がなければ生理がとまってしまいます。
臨床ではエストロゲンが低い人が不妊症の人には多いと感じています。
卵巣は、漢方で考えると腎からくるものです。
五臓の生理機能から考えると腎は静です。
生理周期は動のものです。
腎は静かだが、周期の動態的な変化は心脳によるものです。
腎虚は腎気ではなく心脳の気も大切です。
生理周期は腎だけでなく心脳が必要です。
生理周期における陰陽は、消長というより、長消が正しいです。
生理周期は、先に陰が長、陽が小、最初は、陽小は現れないが、排卵期になると陽長があらわれてきます。
低温期においては、陰を養うだけではたりません。
腎だけでなく、心(脳)も大切です。
したがって、睡眠時間を保つことが大切です。
子宮内膜症、子宮内膜が薄いなども、腎だけでなく心(脳)も必要です。
天癸の陰の消長は、必ず腎と心が必要です。
卵胞期(低温期)について
卵胞期(低温期)の陰が充実するためには、腎だけでなく心が大切です。
心の安定、イライラ、くよくよなどの精神状態の安定などが臨床では必要です。
漢方薬は、補腎の薬だけでなく、今は安心の薬(精神を安定させる漢方薬)も使います。
卵胞期の初期は、補陰がメインです。
子宮に(漢方でいう)血海がたりないと生理の量がすくなくなったり、閉経になります。
血海とは子宮内膜のことです。
月経が終わったら、血海が空間になります。
低温期に血海ができて充満してきます。
血海を充満させるのは容易なことではありません。
血海の充満には、漢方薬は植物性のものだけでなく、亀板(きばん)鼈甲(べっこう)、アワビなど海のものが必要です。
海のものは、子宮内膜の充実には役立ちます。
ただし、心(脳)を無視してはいけません。
子宮内膜を充実させるのは、静が大切です。
心腎の安定が大切です。
補陰だけでなく、補陽も大切です。
子宮内膜症について
周期療法は子宮内膜の改善に有効です。
子宮内膜が厚くなりすぎて、子宮がんになる可能性あると
子宮をとる手術をしなくてはいけないといわれていた患者さんが周期療法によって子宮内膜が厚くなりすぎることがなくなって、手術しなくて済んだ例もあります。
排卵期について
排卵期には、FSH、LHが変化します。足りないと排卵がうまくいきません。
排卵期は重陰から陽の転機です。
睡眠が足りないと転換がうまくいかないことが多いです。
睡眠は大切です。
ストレスが多い人、気配りしすぎる人、気を多く使う人は、老衰しやすいです。
水は、女性にとって大切です。
女性は水分がみずみずしい状態でと若々しく元気になります。
自然界は水分の影響を受けます。
生理周期におけるオリモノは、水です。
周期療法においてオリモノの確認は、非常に重要です。
オリモノの状態を確認しながら、低温期の陰長の状態を確認できます。
排卵期においてオリモノがないときは初期、オリモノがふえてきた中期、オリモノがへってきた後期と3期に分けられます。
POF(卵巣早衰)について
私は西洋医学を学んできていますが、中医学(漢方医学)も大切です。
卵巣早衰で、特に覚えて欲しいのは、腎だけでなく心(脳)の問題も学んでほしいと思います。
西洋医学では、ホルモンの問題だからほおっておいていいと言われるものもしれませんが、
漢方薬で腎と心の改善から更年期の問題も対応していくことが、人生の充実に大切です。
黄体期(高温期)について
月経の前の黄体期(高温期)は、陽の成長です。
卵胞期
陰の成長がゆっくり基礎体温が低い。体が冷えやすい。
排卵期
陽の成長は早い時は、基礎体温がすぐにあがる。
陽の成長は、基礎体温がすぐに上がるかでみられます。
3から6日で高温期に達して重陽(高温期)になります。
癸陽(きよう)は、黄体ホルモンのことです。
高温期に達してもすぐに陰にならないけど、1週間くらいたってから陽から陰に転化します。
子宮内膜が溶けやすいという状態になる解溶して、着床しやすくなります。
妊娠しない時は生理がきます。
陽の中の陰、陰の中の陽を考えることが大切です。
妊娠しても、土陽不足で流産しやすくなります。
土陽は、妊娠をささえる陽です。
周期療法の進歩について
漢方不妊治療の周期療法は、常に進歩しています。
周期療法理論は臨床において発展しています。
月経周期は陰と陽で動いています。
月経周期を調節するためには、陰と陽のバランスが大切です。
陰陽は、深さと高さが大切です。
月経周期の本質は、排卵期が大切です。
排卵期は、陰(低温期)から陽(高温期)への変化の時期です。
排卵期を健康に保つことが大切です。
排卵期のオリモノの状態の確認は、臨床で必要です。
排卵に問題があると西洋治療(クロミッドなどの使用)により、オリモノがへります。
同じ人でも、毎月の月経周期の状態は、同じではありません。
臨床では毎月、確認が必要です。
月経の後は、気血の流れをよくして、補陰→排卵→補陽がスムーズにいくことが大切です。
気の健康が大切です。運動が気の流れをよくします。運動が大切です。
エストロゲンやプロゲステロンなどホルモンは、腎だけでなく、心(脳)も大切です。
女性ホルモンが低い場合は、腎だけでなく心(脳)も考えなくてはなりません。
2019年中医薬による不妊症及び婦人科難病治療国際学術大会において
不妊治療の周期療法で有名な国医大師夏桂成先生と一緒に記念撮影させていただきました。
いつお会いしてもオーラがすごいです。緊張しました。お忙しい中写真をご一緒できてとても感謝しています。
おわりに
最後に、ご参加された皆様が中医学のためにご尽力され、中医学のますますの発展をねがっています。
皆様がいつまでも健康でいられますことを祈願します。
*注意事項
具体的な漢方薬や生薬名については、一部を除いて記載を控えています。
詳しくは、漢方相談スガヌマ薬局店頭にてお尋ねください。
鳥鎮
帰りに鳥鎮によって、皆様の健康を祈願してまいりました。
とても有意義な中国研修でした。
これからもお客様に寄り添って、健康漢方相談がんばります。
鳥鎮にて皆様の健康を祈願してまいりました。
鳥鎮は葵染めで有名だそうです。
皆様が元気でいられますように!
2018年全国実力薬局
子宝部門
スガヌマ薬局受賞
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